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近年、食生活の欧米化に伴い尿路結石の発生頻度が増加しており、一種の生活習慣病と考えられています。小さな結石の場合は自然に排出されるのを待ちますが、大きな結石の場合は体外衝撃波結石破砕術や内視鏡手術で治療します。また再発予防のためには水分摂取と食事療法が重要です。
尿路結石症の診断と治療
- 尿路結石とは
- 尿路結石の症状
- 尿路結石の診断方法
- 尿路結石の治療方法
- 尿路結石の原因
- 尿路結石の再発予防
1.尿路結石とは 尿の中には腎臓から排泄されたカルシウム、蓚酸、リン酸、尿酸などの物質が含まれています。これらの物質が何らかの原因で結晶となり、これがさらに成長・凝集して結石となります。結石はその存在する部位より、腎結石、尿管結石、膀胱結石および尿道結石に分類されます。結石の大部分は腎臓の中で形成され、尿管結石はそのうち比較的小さなものが尿管内に移動したものです。膀胱結石は尿管結石が膀胱まで下降したものもありますが、ほとんどは膀胱の中で形成されたもので、腎結石や尿管結石とは区別して扱われます。尿道結石は上から降りてきた結石が体外に排出される際に尿道の途中に引っかかったもので、極めて稀な状態です。
余談ですが、尿路結石と胆嚢結石とは原因も成分も異なり、全く無関係です。

(図 尿路結石の種類)
2.尿路結石の症状 最もよく知られているのが痛みです。患者さんの中には結石が移動した時や結石が尿道を通って体外に排出される時に痛むと考えている方が多いようですが、事実は全くそれとは異なります。典型的な結石の痛みは腎臓の出口や尿管が結石により塞がれ、それより上部の尿路に尿が溜まり腫れてしまうこと(水腎症)により発生します。その場合の痛みの性状は背中の鈍痛の場合もあれば、結石を排出しようと尿管が激しく収縮した時に発生する脇腹から背中にかけての激烈な痛み(疝痛)の場合もあります。疝痛は出産の時の陣痛とメカニズムが類似しており、しばしば吐き気や嘔吐を伴うため、胃腸の病気と勘違いされることもあります。腎結石の場合は、結石が腎臓の出口に詰まって水腎症にならない限り痛みはほとんどありません。尿管結石が膀胱の近くまで下降してくると膀胱炎と類似した頻尿・残尿感・排尿時の違和感などの症状が出現します。これらの膀胱刺激症状は結石が順調に下降していることを示す良い兆候です。膀胱結石による痛みは軽度で、頻尿や残尿感といった形で現れます。
二つ目に血尿があります。ただし血尿単独で出現することは稀で、先に述べた痛みや結石の排出を伴う場合がほとんどです。逆に痛みを伴わない血尿の場合、膀胱ガンなどの恐い病気の場合がありますので、すぐに精密検査が必要です。
三つ目に結石の自然排出があります。結石が尿道を通って体外に排出される時は、尿道の直径に対して結石は比較的小さいので痛みはほとんどなく、結石が排出したことに全く気付かないことも少なくありません。稀な状態として、尿道に結石が詰まり膀胱に溜まった尿が出せなくなることがあります。
さらに合併症として、同時に両側の尿管に結石が詰まると腎不全になることがあり、腎臓に細菌感染(腎盂腎炎)が起こると発熱することがあります。これらの合併症は命を脅かすことにもなりかねないので、直ちに専門医による治療が必要です。
3.尿路結石の診断方法
| 1) |
単純レントゲン検査 |
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大部分の結石は白い影として写りますので診断可能です。しかしながら、サイズが小さかったり、骨と重なっていたり、レントゲンに写らない成分のみでできている結石の場合は見落とすことがあります。また胆石、カルシウムが沈着した静脈やリンパ節など尿路結石との鑑別が困難なものがあるため、診断には注意が必要です。 |
| 2) |
腹部超音波検査 |
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腎臓の中や尿管の上部にある結石の場合は、その大きさや場所が確認できますが、尿管の下部まで降りた結石は直接確認できないことがあります。しかしながらそのような場合でも腎臓や尿管の腫れの有無や程度が判り、痛みが結石によるものか否か、早期の治療を要するか否かなどの判断に必要な情報が得られます。 |
| 3) |
造影レントゲン検査 |
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50〜100mlの造影剤を点滴しながら、経時的に4〜5枚のレントゲンを撮影します。単純レントゲン検査では見落としていた結石や、紛らわしい陰影の確定診断が可能となります。その他に結石ができる原因となる尿路奇形や腎機能障害の程度も判り、治療方法を決定する上で極めて重要な検査です。 |
| 4) |
CTスキャン |
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カルシウム成分を含まない結石は、尿路の粘膜に発生したポリープやガンとの鑑別が困難なことが少なくありません。CTスキャンではいかなる成分の結石でも描出されるので、これらの疾患との鑑別診断が可能となります。 |
4.尿路結石の治療方法
治療方法は、結石の大きさや成分、腎機能障害の程度などを判断材料にして決定します。
| 1) |
薬物療法 |
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痛みに対しては内服薬、坐薬さらには筋肉注射などの鎮痛剤を使用します。また炎症を起こして熱が出ている場合には抗生物質も使用します。
残念ながら尿路結石の大部分を占めるカルシウム含有結石を溶かす薬はありません。比較的小さな(おおよそ6o以下)結石は尿管拡張剤や利尿剤を服用しながら自然に排出されるのを待ちます。一方、尿酸やシスチンといった特殊な成分でできている結石は尿をアルカリ化することで徐々に小さくなりますので、重曹やクエン酸製剤を内服していただきます。 |
| 2) |
積極的治療 |
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結石が大きい場合や、腎機能障害が進行している場合は下記の方法での治療が必要となります。
| A. |
ESWL:体外衝撃波結石破砕術 |
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体外で発生させた衝撃波を体の中にある結石に集め、そのエネルギーで結石を少しずつ砕き、細かくなった石は尿とともに排出されるという治療方法です。治療に伴う痛みは軽いので麻酔の必要はなく、坐薬や注射などの鎮痛剤のみの使用で実施可能です。主な副作用としては軽度の皮下出血や一過性の血尿が見られる程度で、人体に及ぼす影響が極めて少ないことから、尿路結石に対する治療方法の第1選択となっています。しかしながら効果は結石の大きさ、存在する場所、硬さ(成分)に大きく影響され、一回の治療では完全に破砕されない場合があります。そのような場合はしばらく期間をあけて何回かの治療を行います。また時々発生する合併症として、結石の破片が尿管の途中に詰まり尿の流れが悪くなり、痛みや熱が出ることがあります。
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(図 体外衝撃波結石破砕術) |
| B. |
TUL:経尿道的尿管結石摘出術 |
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ESWLが無効であったり、大きさが15oを超えるような大きな尿管結石に対して行う内視鏡手術です。極めて細い尿管鏡という特殊な内視鏡を尿道→膀胱→尿管と挿入していき、尿管内の結石を内視鏡で観察しながらレーザーなどの砕石装置を用いて細かく破砕、あるいは鉗子で摘出します。腰椎麻酔で行いますので全く痛みはなく、治療効果は確実で、通常一回の治療で完了します。 |
| C. |
PNL:経皮的腎結石摘出術 |
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大きさが25oを超えるような大きな腎臓結石に対して行う内視鏡手術です。背中の皮膚から腎臓の中に至る直径1cm弱の瘻孔を作成し、そこから腎盂鏡という特殊な内視鏡を挿入し、結石をTULと同様の方法で破砕・摘出します。麻酔は腰椎麻酔あるいは全身麻酔が必要です。腎結石は尿管結石と比較してサイズが大きく複雑な形状をしている場合が多いことから、複数回に分けて治療を行ったり、ESWLと組み合わせて施行することがよくあります。 |
| D. |
開腹手術 |
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上記のESWL、TUL、PNLなどが導入される以前はしばしば行われていましたが、現在では特殊なケースを除いて行われることはありません。 |
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5.尿路結石の原因 7割以上の患者さんでは原因が不明で、気候風土、遺伝的体質、職場環境、水分摂取不足、偏った食生活、運動不足、精神的ストレスなどが複合して結石ができるとされています。その中でも特に水分摂取と食事の影響が大きいと考えられており、再発防止のためには後で述べる食事療法が重要です。
一方、明らかな原因として、尿路の細菌感染、痛風などの尿酸値異常、副甲状腺ホルモンの異常、尿路通過障害、長期の寝たきり状態、薬の副作用などあり、泌尿器科ではこれらに関する検査を行い、それに対する治療も行います。
6.尿路結石の再発予防
| 1) |
1日1.5〜2リットルの水分摂取を |
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あらゆるタイプの尿路結石の方にあてはまることは、「たくさんの水分を摂りなさい。」ということです。1日の尿量が一升瓶1本分位になるよう心掛けて下さい。飲み物としては、お茶やただの水が良いようです。特に夕食後から寝る前までの水分摂取が有効です。 |
| 2) |
ビールのがぶ飲みは慎む |
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「ビールは結石によいか?」は患者さんからよく聞かれる質問です。ビールの効用は多量の水分とアルコールの持つ利尿作用ですから、比較的小さな結石を尿流で押し流してしまおうとする時には有効です。しかしビールは体内で代謝されると結石形成の原因となる尿酸に変わり、また一時的な利尿期の後は脱水傾向となり、尿が濃縮されますので、再発防止という観点からはあまりお勧めできません。中瓶で2本位が限度と考えて下さい。 |
| 3) |
コーヒー・紅茶の飲み過ぎはやめる |
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コーヒーは自律神経を刺激し、基礎代謝を高め、血中と尿中の尿酸を増加させ、さらに尿を酸性にします。また紅茶には結石の主な成分である蓚酸が多く含まれています。このようにこれらの嗜好品は結石形成を促進する可能性がありますので、1日に1〜2杯程度にして下さい。 |
| 4) |
カルシウムをしっかり摂る |
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尿路結石の大部分はカルシウムを含んでいますが、一般的にはカルシウムの摂り過ぎで結石ができることはありません。実際、日本人の1日当たりのカルシウム摂取量は平均550mgで、理想とされている600mgを下回っており、骨の丈夫さを守るという点からもカルシウムの制限はお勧めできません。さらに最近の研究により、カルシウムは腸管の中で結石の主な原因物質である蓚酸と結合し、腸管での蓚酸の吸収を減少させることにより、結石の発生を抑制する効果があることが解っていますので、カルシウムは積極的に摂取して下さい。 |
| 5) |
蓚酸について |
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ほうれん草は尿路結石の原因になると言われています。ほうれん草にはたくさんの蓚酸が含まれており、この蓚酸とカルシウムの化合物は水に溶けにくいため、結石の原因になると考えられていました。しかし実際にはほうれん草を湯がくと、その中に含まれる蓚酸の大部分は失われるため、問題にはなりません。蓚酸を多く含むため食べ過ぎに注意が必要な食品には、チョコレートやピーナッツなどがあります。
また体内ではビタミンCから蓚酸が作られます。ビタミンCを多量に飲むと風邪をひきにくいとかガンになりにくいと言われていますが、いずれも確実な証拠はなく、研究者の間では通常の食事だけで十分と考えられています。 |
| 6) |
動物性たんぱく質・脂肪について |
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近年、尿路結石の発生頻度が増加していますが、その最大の理由は食生活の欧米化、特に肉類の摂取量の増加にあると言われています。肉類に多く含まれている核酸は体の中で代謝されて尿酸となりますが、この尿酸はそれ自体が結石を形成したり、カルシウムや蓚酸を溶けにくくします。そのため成人の方は肉類の過剰摂取は控え、その代わりに植物性のたんぱく質を多く摂るようにして下さい。
脂肪は小腸の中でカルシウムと結合し、せっかく摂取したカルシウムの結石予防効果を薄めてしまいますので、脂肪の摂り過ぎにも注意が必要です。 |
| 7) |
野菜について |
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菜食主義の方における結石発生頻度が低いことは確かなようです。野菜に多く含まれるマグネシウムや食物繊維が有効と考えられています。マグネシウムは玄米・麦・馬鈴薯・きのこ類・バナナなどに多く含まれ、食物繊維はおから・大豆・あずき・ごぼう・そばなどに多く含まれていますので、これらの食品の摂取をお勧めします。 |
| 8) |
塩分・糖分について |
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塩分摂取量・糖分摂取量と尿路結石の発生頻度との間には相関関係があると言われています。その機序は十分には解明されていませんが、尿中のカルシウム濃度を増加させるとの報告があります。高血圧や糖尿病などの生活習慣病の予防のためにもできるだけ控えるようにして下さい。 |
| 9) |
結石は夜に作られる |
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夜間は水分摂取が少なくなり尿が濃縮されるため、「結石は夜に作られる」と言われています。最近の食生活は夕食偏重で、高カロリー・高蛋白な食事を夜遅くに食べる傾向にあります。その結果、就寝中に尿がますます濃くなり、結石形成を促進します。結石再発防止のためには朝と昼にしっかりと食べ、夕食はなるべくアッサリとしたものを食べ、夕食から就寝までの間隔を最低2時間、理想的には4時間以上あけることが重要です。 |
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