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 HOME > 主な疾患【病名別】 > ○泌尿器がん (精巣腫瘍)

精巣腫瘍
精巣腫瘍(トピックス)
  • 難治性精巣腫瘍治療症例が70例を超えました。
  • 新規抗がん剤による救済化学療法をとり入れ治療成績が向上。
  • 化学療法後の射精神経温存後腹膜リンパ節郭清術が50例を超えました。

精巣腫瘍の診断と治療
  1. 精巣腫瘍とは
  2. 主な症状は
  3. 診断方法
  4. 精巣腫瘍の治療
  5. 京都府立医大泌尿器科での難治性精巣腫瘍の治療成績

1.精巣腫瘍とは
日本では比較的稀な疾患で、発生率は10万人に約1人程度といわれていますが、20〜40歳代の青壮年期に好発し、進行が早いことが特徴です。早期から転移する場合が多く、転移巣による症状から発見されることもあります。たっだし、転移を有する場合でも化学療法、外科療法、放射線療法を組み合わせた集学的治療により、比較的高い治療率が得られることも大きな特徴です。

精巣は、精子と男性ホルモンを作っている臓器で陰嚢内にあります。精巣腫瘍のほとんど(約95%)は、この精子を作り出す細胞(胚細胞)ががん化したものです。精巣腫瘍の組織には精上皮腫(セミノーマ)と呼ばれるタイプとそれ以外(非セミノーマ)に大別されます。

2.主な症状は
早期では、痛みを伴うことはほとんどなく、陰嚢内容の腫大(無痛性腫大)が主な症状です。痛みがないため、陰嚢内容が腫大していたり硬結を触れていても、恥ずかしさから受診せず、進行してしまう症例を多く認めます。早期に転移を来たすため、転移による症状で受診する場合もあります。転移による症状には、頚部や腹部のリンパ節による腫瘤を触れる・腰痛・さらには肺転移による呼吸困難まで様々な症状があります。

症例参照:後腹膜に大きなリンパ節転移を認める症例
症例参照:後腹膜に大きなリンパ節転移を認める症例

陰嚢の異常に気づいたらすぐに泌尿器科を受診してください。

3.診断方法
精巣腫瘍の診断は、陰嚢の触診、超音波検査、腫瘍マーカーの血液検査で行います。精巣腫瘍と鑑別を有する疾患として、陰嚢水腫、精巣上体炎、精巣捻転などがあります。特に精巣上体炎の場合精巣腫瘍鑑別が困難な症例もあり注意が必要です。こんなときには?の睾丸が腫れてきたの項目参照)

4.精巣腫瘍の治療
まずがんの発生した精巣を完全に切除する高位精巣摘除術を行います。 摘出した組織を病理組織学的に診断を確定します。さらに画像診断(CT、MRIなど)、腫瘍マーカーなどの検査を行い、どこまで病気が進行しているか(日本泌尿器科学会病期分類)を決定します。組織型と臨床病期により治療方針を決定します。
日本泌尿器科学会病気分類 精巣腫瘍の治療方針

難治性精巣腫瘍の治療方針  転移の見られないセミノーマでは厳重な経過観察か後腹リンパ節に対する予防放射線を行います。

転移を有する進行性・難治性精巣腫瘍では抗がん剤であるシスプラチンを中心とした化学療法を行います。


当科では初回の化学療法で治癒しない難治性精巣腫瘍に対して塩酸イリノテカン、パクリタキセル、ゲミシタビンなどの新規抗がん剤を用いて、優れた成績が得られています。

また、化学療法後の残存腫瘍に対しては後腹膜リンパ節郭清術が実施されますが、当科では青壮年にとって非常に重要な勃起および射精神経を温存する術式を積極的に実施しており優れた成績を得ることに成功しています。詳細についてはWhat’s newへ

現在、これらの治療によって、転移を有する進行性精巣腫瘍であっても、約80%の治癒が可能となっています。ただし、進行性精巣腫瘍の治療は化学療法、外科療法ともに複雑で豊富な知識と経験が必要です。一般的には、症例数が少なく、ほとんど症例を経験したことがない施設も多くあるのが現状です。その点、当科には全国から患者様の紹介があり、現在も多くの進行性・難治性精巣腫瘍の方が治療を受けておられます。

新規抗がん剤を用いた化学療法などを体系的に行うことで、治癒できる可能性がありますので、本疾患の患者さんは当科外来を受診することをご一考ください。

5.京都府立医大泌尿器科での難治性精巣腫瘍の治療成績
精巣腫瘍の治療成績は シスプラチンという抗がん剤を使用した多剤併用化学療法が導入されてから、治療成績は飛躍的に向上し、転移を有する進行性精巣腫瘍であっても70〜80%の治癒が期待できるようになっています。

しかしシスプラチンを含む併用化学療法に抵抗を示す場合では、約20%での患者さんでしか長期に生存することができませんでした。これら難治性精巣腫瘍を、いかに効果的に治療させるかが現時点における進行性精巣腫瘍の治療の最も大きな問題点といえます。

進行性精巣腫瘍に対する化学療法当科では従来のシスプラチンを含む化学療法に抵抗性を示す症例に対して、以前から新規抗がん剤である塩酸イリノテカンパクリタキセル)とシスプラチンの誘導体ネダプラチンを用いた救済化学療法を行い、治療成績を向上させています。


今まで約20%でしか長期生存できないと言われていた難治性精巣腫瘍でも、当科を受診された約半数の患者さんを治癒に導くことができました。しかし、他施設でいろいろな治療を受けてから受診される場合、治療が困難なることが多く、早期より系統だった治療が必要と考えられます。系統的治療を早期より行うことで治療成績をさらに向上させることができると思われます。今後さらに症例を重ね、治療成績を向上させていきたいと考えています。


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