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トピックス

泌尿器科腹腔鏡手術


1. 泌尿器腹腔鏡技術認定制度に当科および関連施設より8名が合格しまし た。

 本制度は日本泌尿器科学会と日本Endourology・ESWL学会が、泌尿器腹腔鏡手術に携わる医師の技量を評価し、一定の基準を満たしたものを認定するものです。全国で136名の泌尿器科医が認定に合格しましたが、当科および関連施設より8名が合格しました。当科ではこれらの認定医が必ず手術に立ち会いますので、安心して腹腔鏡手術を受けていただけると思います。


日本泌尿器科学会/日本Endourology・ESWL学会泌尿器腹腔鏡技術認定制度規則
                    第1章 総則
(目的)
第1条 泌尿器腹腔鏡手術は、低侵襲的であるなどの利点から、多数の泌尿器科手術に応用されているが、内視鏡下の手術野で特殊な器具を用いて行う手術であり、高度な技術が要求される。この、日本泌尿器科学会/日本Endourology・ESWL学会泌尿器腹腔鏡技術認定制度(以下、本制度と略す)は、日本泌尿器科学会と日本Endourology・ESWL学会(以下、両学会と略す)が、泌尿器腹腔鏡手術に携わる医師の技量を評価し、一定の基準を満たした者を認定するもので、これにより本邦における泌尿器腹腔鏡手術の健全な普及と進歩を促し、ひいては国民の福祉に貢献することを目的とする。
 本制度は、日本内視鏡外科学会が、外科、泌尿器科、胸部外科、産科婦人科、整形外科など、関連各学会を統合して、本制度と同様の共通の目的と、共通の基準のもとに創設した日本内視鏡外科学会技術認定制度の一部を構成するものでもあり、関連各学会と協調して国民の福祉に貢献することを目指すものである。
(対象)
第2条 本制度は、副腎、腎、尿管、膀胱、前立腺、精巣、精嚢、後腹膜骨盤リンパ節、上皮小体、および後腹膜腔に対する腹腔鏡下(腹腔鏡手術、後腹膜鏡手術、用手補助下腹腔鏡手術など)の手術手技において、術者として標準的技量を取得していることを認定するものである。尿路内視鏡手術手技は本制度には含まれない。

2. 腹腔鏡手術の実施件数が500例を超えました。
腹腔鏡手術とは、腹壁に空けた数箇所の小さな穴にトロッカーと呼ばれる筒をはめ込み、そのトロッカーから専用の内視鏡や鉗子などの手術器具の先端を体内に挿入し、モニター画面上に映し出された体内の様子を見ながら、従来の開腹手術と基本的には同じ操作を行う手術方法です。
トロッカー
(トロッカー)

  腹腔鏡手術の長所として、

1. 傷が小さいことから、術後の痛みが少なく、美容的観点からも優れている。
2. 術後の回復が早く、入院期間が短縮される。
3. 術野がモニター画面上に拡大されるため、細かく丁寧な手術操作が可能となり、出血量も少なくなる。
4. 開腹手術では困難な深部の手術操作も容易に行える。
  などが挙げられます。

  一方、短所として、
1. 鉗子類の操作に慣れが必要である、直接手で触った時のような触覚がない、鉗子や内視鏡を動かせる角度が限られているなどの理由から、術者には高度な技術が要求される。
2. 手術操作を行うスペースを確保するために、お腹の中に二酸化炭素を送気しながら手術を行うが、ごく稀にその副作用として高二酸化炭素血症、不整脈、肺梗塞、皮下気腫、気胸、深部静脈血栓などが発生することがある。
3. 鉗子操作のみでは止血困難な出血が発生した場合や、高度の癒着のため臓器の剥離が困難な場合には、手術の途中で開腹手術へ移行することがある。
  などが挙げられます。

  泌尿器科領域における腹腔鏡手術は1980年代後半に始まり、当初、前立腺がんに対する病期診断を目的とした骨盤内リンパ節郭清術、体表からは触知できない高度の停留精巣の診断、あるいは精索静脈瘤の根治手術などの術式が行われていました。そして1990年6月に腹腔鏡下腎摘除術が、1992年1月に腹腔鏡下副腎摘除術がそれぞれ世界で初めて臨床応用され、腹腔鏡手術の急速な発展のきっかけとなりました。その後、多くの技術や術式が研究・開発され、最近ではほとんどの泌尿器科手術が腹腔鏡手術で行えるようになっています。

京都府立医科大学泌尿器科では、1999年11月より腎・尿管および副腎に対する腹腔鏡手術(腹腔鏡下腎摘除術、腹腔鏡下腎尿管全摘除術、腹腔鏡下副腎摘除術)の臨床応用を開始するとともに、それ以外の腹腔鏡手術の研究に対しても積極的に取り組んでおり、最近では尿路奇形に対する形成術(腹腔鏡下腎盂形成術など)、小さな腎腫瘍に対する腎温存手術(腹腔鏡下腎部分切除術)、さらには小児の泌尿器疾患に対する手術(停留精巣に対する腹腔鏡検査および腹腔鏡下手術、腹腔鏡下逆流防止術など)も腹腔鏡手術で行っており、良好な成績を収めています。

このように適応疾患が拡大され、腹腔鏡手術を希望される患者様が増えたことにより、その実施件数は着実に増加しており、これまでに実施した手術件数は、表にお示ししましたように関連病院を含めて500件を超えました。 腹腔鏡手術に関して興味や不安のある患者様は、遠慮なく当科の医師にご相談下さい。

3.腹腔鏡下腎摘除術の有用性と安全性が確認されました。
腎摘除術は,機能が廃絶してしまった腎臓や悪性腫瘍が発生した腎臓に対して行われる術式です。

近年、腹腔鏡下腎摘除術は、従来の開腹手術に取って代わり、これらの疾患に対する手術方法の第一選択肢として定着しつつあります。腹腔鏡下腎摘除術は、通常鉗子類を挿入するためのトロッカーを3〜4本腹壁に設置して行いますが、あらかじめ約7cmの皮膚切開を行い、その切開創から体内に挿入した手で腹腔鏡下の手術操作を補助するハンドアシスト法という術式が用いられることもあります。
ハンドアシスト法
(ハンドアシスト法)

ハンドアシスト法では腹腔鏡手術の安全性が高まり、手術時間が短縮できることから、腎摘除術のように臓器を取り出すために最終的に皮膚切開を加えなければならない術式において特に有用です。

京都府立医科大学泌尿器科およびその関連病院において、2004年12月までに行った213件の腹腔鏡下腎摘除術の統計では、輸血を必要とした出血が1件、開腹手術に移行したのが2件ありました。また合併症として、鉗子操作による周囲臓器の損傷が3件、術後の肺に関する合併症が2件ありましたが、いずれも重篤なものではありませんでした。

一方、開腹手術と比較して、食事開始は術後2〜3日目が1〜2日目に、歩行開始は4〜5日目が2〜3日目に、退院は術後14〜21日目が術後7〜14日目にそれぞれ短縮しており、術後の鎮痛剤使用量も著しく減少しておりました。また最近行った解析では、開腹手術と比較して術後の再発率に差は認められず、悪性腫瘍に対する治療としても安全であることが証明されつつあります。
腎適除術における非再発率
(腎摘除術における非再発率)

4.腹腔鏡下腎部分切除術が実施可能となりました。
近年、超音波検査やCT検査の普及により、直径4cm以下の極めて小さな腎がんが発見される機会が増加しています。その場合、腫瘍が腎臓の辺縁に位置していれば、腫瘍を含めて腎臓の一部分をのみを切除し、残りの部分を温存する腎部分切除術が可能です。

腎部分切除術は、腎臓を片方全て摘出する腎摘除術と比較して手術操作が煩雑で、手術時間がかかり、出血量も増加する傾向がありますが、京都府立医科大学泌尿器科では他の腹腔鏡手術で培った技術を駆使し、この腎部分切除術も腹腔鏡手術で実施しております。

これまで施行した22件のうち、腹腔鏡下腎摘除術に移行したのが1件、術後2週間目に腎臓周囲に出血を認めたのが1件ありましたが、輸血を必要としたり他臓器の合併症を認めたケースはなく、温存できた腎臓の機能は全て良好に保たれていることが確認されています。

5.腹腔鏡下副腎摘除術の適応範囲が拡大されました。
副腎は腎臓のすぐ上方にある臓器で、そこに発生した原発性アルドステロン症、クッシング症候群、褐色細胞腫などのホルモン産生腫瘍、限局性副腎がん、副腎がんが否定できない内分泌非活性腫瘍などは手術の対象となります。

腹腔鏡下副腎摘除術は1992年に世界に先駆け本邦で初めて実施された術式で、最近では副腎疾患に対する手術方法の第一選択肢となっています。

従来の開腹手術では、副腎が体の中心付近にあるため小さな臓器であるにも関わらず20〜30cmにも及ぶ大きな皮膚切開が必要でしたが、腹腔鏡下副腎摘除術では、鉗子類を挿入するためのトロッカーを3〜4本腹壁に設置して行い、遊離した副腎はトロッカーを設置した穴を腫瘍の大きさに合わせて拡張し体外に摘出しますので、体に対する負担は著しく軽減されます。

京都府立医科大学泌尿器科およびその関連病院では、2004年12月までに86件の腹腔鏡下副腎摘除術を実施しており、そのうち輸血を必要とした出血が2件、開腹手術に移行したのが2件、胆嚢損傷が1件、術後の肺塞栓が1件ありましたが、いずれも重篤なものではありませんでした。また当初、腹腔鏡手術の適応外とされていた褐色細胞腫や直径が5cmを超える大きな副腎腫瘍も、技術レベルの向上により最近では実施可能となっております。 。

6.腹腔鏡下腎尿管全摘除術の有用性と安全性が確認されました。
腎盂尿管腫瘍に対する治療として、腫瘍ができた側の腎臓および尿管を、尿管が付着する膀胱の一部とともに摘出する腎尿管全摘除術が行われます。

従来の開腹手術では腎臓と尿管の上部を摘出するための約20cmの上腹部の皮膚切開と、尿管の下部と膀胱の一部を摘出するための約15cmの皮膚切開が必要でしたが、京都府立医科大学泌尿器科ではハンドアシスト法を用いた腹腔鏡手術で腎臓を摘出し、ハンドアシストのための約7cmの皮膚切開を用いて尿管下部と膀胱の一部を摘出方法を行っております。

これまでに行った98件を従来の開腹手術を行った場合と比較検討したところ、再発率に差がないことが確認されました。
腎尿管全摘除術における非再発率
(腎尿管全摘除術における非再発率)

腹腔鏡下腎盂形成術
停留精巣に対する腹腔鏡検査および腹腔鏡下手術
腹腔鏡下逆流防止術

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