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トピックス

前立腺腫瘍外来(京都府立医科大学前立腺がんセンター)

〜世界最先端技術の診断と生活の質(QOL)重視の治療戦略〜

  1. はじめに
  2. 前立腺がん検診事業
  3. 最先端の画像診断技術を駆使した前立腺がんの検出
  4. 前立腺がん診断のための、新しい腫瘍マーカーの臨床応用
  5. 低侵襲の手術治療と生活の質(QOL)に応じた治療指針
  6. わたしたちの治療は患者様の人生に貢献しているのか?
  7. 診察時間
  8. 診療担当

1.はじめに
わたしたちの京都府立医科大学前立腺がんセンターは、日本における現在そして将来の前立腺がんの増加を念頭におき、1976年に開設され、京都府下の前立腺検診のみならず、日本全体の前立腺がん検診事業の推進のために努力してきました。

今日までの四半世紀の歴史の中で、その時代毎の最先端技術を駆使し、前立腺がんの早期発見と、前立腺肥大症の正確な診断(がんとの鑑別)に努めてきました。患者様の生活の質(Quality of life、 QOL)を重視した治療を行うために、その時代の最先端技術も含めて幾つかの治療の選択枝を患者様に提示し、しかるべき治療方法の決定を行います。

例えば、がんの早期診断には、「最新の血液腫瘍マーカー」の使用、がん新生血管も画像化できる「超音波診断技術」の導入、がんの見逃しの少ない前立腺組織「生検法」の開発、さらに、がんの進行の程度に応じた適切な治療方針決定に欠かせない「新しいがんの進行度判定法」や「治療効果の新しい判定法」の開発を行ってきました。

治療では、従来の根治的手術に加え、低侵襲手術の導入、放射線治療においても従来の方法に加え、前立腺組織内照射法の導入、さらには、進行がんに対しても、内分泌治療を中心に、「より良好な治療成績」と副作用の少ない「QOLの維持」の両面を追求した治療の選択枝を提示して、患者本位の治療に努めています。この本ホームページでは、前立腺腫瘍専門外来の特色ならびにこれまでの前立腺がんセンターの足跡をご紹介します。

2.前立腺がん検診事業
前立腺がんは、今日、日本で最も罹患率の増加の大きいがんと報告されています。さらに、最近の著名人の前立腺がん罹患の報道により、今、日本で関心度の最も大きな疾患といっても過言ではありません。

京都府立医科大学前立腺がんセンターでは、1975年より京都府内の各市町村をはじめ、滋賀県、北海道等でも前立腺超音波検査を用いて、世界でも初めての前立腺集団検診を展開してまいりました。さらに1992年からは血液検査であるPSA(前立腺特異抗原)を導入し、その結果、早期の前立腺がんの診断率が著しく増加しています。

過去20年以上にわたる前立腺集団検診の成果は、数万人の受診者中0.7%の前立腺がんの診断に至っています。現在国家規模で普及しているがん検診は胃がん、子宮がん、乳がん、肺がん、大腸がんですが、それらのがん検出率は0.04%-0.15%であることと比べると、我々の前立腺がん検診は極めて高い検出率といえます。

また、「検診で発見された前立腺がん」の約50%が「根治的治療が可能な早期がん」であることは特記すべきです。無症状でも積極的に検診を受けた結果、早期がんで見つかったこれらの一般のひとが、もし症状がでてから患者として医師を受診していたのでは、そのがんはより進行してしまっていたはずで、完全に治るのが困難であったはずだからです。我々は50歳以上の男性にPSA検査を強くお勧めします。一度この検査を受けられた後の再検査の必要性は、自分の検査結果の値によって決まります

3.最先端の画像診断技術を駆使した前立腺がんの検出
前立腺のどこにがんがあるのかの診断(局在診断)は極めて重要です。前立腺がんの診断に不可欠な検査は、「直腸からの指による触診」がありますが、早期がんの診断には必ずしも有用ではありません。これに対し、前立腺の診断に最も適切とされる画像検査法に、経直腸的超音波検査(TRUS)と核磁気共鳴(MRI)があり、我々は両者を併用して診断しています。

前立腺腫瘍センターの全スタッフは、前立腺がんが日本の10倍以上も多い米国で、テキサス大学M.D.アンダーソンがんセンターと我々との共同研究で、各スタッフが1000例を超える前立腺がんの発見経験を有し、がんの見逃しの少ない効率的な前立腺針生検による検出法を多数例の経験に基づき実践しています。

近年前立腺内部の微細な腫瘍血管を同定する超音波パワードプラ法が前立腺にも応用可能となり、当センターが日本で最も早く本法を導入しました。現在、日本超音波医学会の指導医に認定された3名のスタッフが前立腺ドプラ超音波検査外来(毎週水曜日午後および金曜日午前)を併設し、前立腺がんの早期診断に努めています。

前立腺がんの進行に応じて適切な治療方針を決定する際、がんの進行の程度(病期)の正確な判定が必要です。特にがんが、前立腺の内に限局しているかどうかを正確に判定するには。最先端の画像診断技術が不可欠です。当センターでは、先述の新しい超音波による病期診断基準の開発に加え、京都府立医科大学放射線診断部と提携し、前立腺のMRI画像も併用して、より精度の高い進行度判定に役立てています。

4.前立腺がん診断のための、新しい腫瘍マーカーの臨床応用
現在前立腺がんの診断に応用されているPSAは他のがんの腫瘍マーカーと比べて、非常に感受性の高いことが知られています。しかしPSA値が4.0 ng/mlから10.0ng/mlの軽度高値の範囲に属する、いわゆるグレーゾーンの前立腺がんの検出率は、前立腺生検を施行した中で約20%といわれ、このPSAグレーゾーンの診断効率の向上が世界的な課題といわれています。

現在、保険適応で認められている、非結合型PSA(フリーPSA)を従来のPSAの補助診断として検査することも広く行われていますが、当前立腺腫瘍センターのスタッフは、前立腺がん腫瘍マーカー研究の最先端施設(米国、M.D.アンダーソンがんセンター。および、カナダ、 トロント大学)との共同研究で、新しい腫瘍マーカー(コンプレックスPSA、 ヒューマンカリクレン11)の臨床研究を行ない、その意義の確立に着手しています。

5.低侵襲の手術治療と生活の質(QOL)に応じた治療指針
特に、我々は、病態の進行度、年齢やその他の持病の状況、さらに生活の質(QOL:患者様の精神的、肉体的な苦痛がないか)も考慮したうえで、治療の選択枝を提示しています。一般的に大学病院の診療は受診者数が多いため“3分間診療”と批判されており、十分な意思の疎通が行われ難いことが大きな問題となっております。

当専門外来では、がんの告知を行う場合や、がんと宣告されてからの治療方針の決定の際には、時間を制限することなく、納得がいくまで本人、家族と医師との間で、話し合いをする機会をもち、十分なインフォームドコンセントを行います。また、我々のセンターにはセカンドオピニオンとして、他院での治療方針の相談にやってこられる方も増えており、十分な時間をかけて相談させていただいております。

我々の治療指針は、早期の前立腺がん(前立腺内にとどまるがん)に対しては、従来の根治的前立腺全摘除をさらに改良し、生活の質を考慮した低侵襲の手術治療(開腹術である根治的前立腺全摘除術を小切開法で施行、または、腹腔鏡下前立腺摘除術)を行っています。ことに小切開法は約6cmの傷で前立腺がんの手術が可能で、われわれの教室では、80例の患者様をすでに治療し、安定した術式となっております。

さらに我々は泌尿器科内視鏡手術で世界をリードする病院(オハイオ州、クリーブランドクリニック)の研究グループと共同で、前立腺手術についても、根治性を高め、合併症の軽減を目指した新しい手技を開発中です。

6.わたしたちの治療は患者様の人生に貢献しているのか?
個々の患者様に前立腺がんの治療を行った結果、最先端の診断、治療体系が、前立腺がんと診断された後の患者様の人生(寿命)に貢献したのかを、科学的に分析するために。当センターおよび京都府立医科大学関連施設で前立腺がんと診断され、治療を行った1125人の患者様の追跡調査を行いました。

1975年から1988年の間にがんを診断された患者様と1989年以降に診断された患者様の予後を比較した結果、5年生存率(前立腺がんと診断され、5年後に生存している割合)では1975年から1988年では48%であったのに対し、1989年以降では78%であり、統計学的解析では有意に患者様の寿命は延長しています。

また、10年生存率でも、前者が23%であるのに対し、後者は63%と同じく有意に寿命は延長しています。早期がんで手術を行った症例に限れば、その根治率はおよそ90%に及びます。これらの結果は、わたしたちの施設が絶え間なく、前立腺がんの早期診断に努め、病態に応じた最も適切な治療を行ってきた結果であると考えています。

7.診察時間
毎週金曜日の午前9時から午後2時まで、前立腺がんを含めた前立腺疾患の患者様の専門外来を行っています。また前述のように、水曜日午後、超音波ドプラ検査と並行して前立腺肥大症の診断に不可欠な尿流量測定を含む尿流動態検査を専門に行う外来も設置しています。

当専門外来は、経過観察中の患者様が中心となりますので、初診の方は午前中に受診してください。待ち時間短縮のため、原則的に予約制になっております。金曜日の診察は2診制で診療を行っております。

8.診療担当
金曜日の前立腺腫瘍外来の担当者は沖原医師、牛嶋医師、鈴木医師です。超音波ドプラ検査は鴨井医師、沖原医師が担当です。

 

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